英文法の全体像

英語  YOSHIKI  2022.2.9  2025.2.3

技術書や数学書のようなノリで、英文法の全体像をまとめてみました。

もくじ

文法とは?

まず「そもそも文法って何?」というところから確認しましょう。 その前に「文法」を定義するのに必要な用語をいくつか準備します。

語とは?

文の最小単位である「語」という概念から確認します。

定義

一定の意味や機能を持った文字の並びを(word)という。

たとえば「p」も「e」も「n」も1文字だけでは意味も機能も持ちませんが「pen」と並べばペンという特定の意味を持った語になります。 語は文法上の最小の単位です。 つまり「なぜpとeとnがpenと並ぶとペンを意味するのか?」という問題は文法では扱いません。

定義

大文字で始まり「.」または「?」または「!」で終わる1語以上の語の集まりを(sentence)といいます。

たとえば「Hello!」や「No problem.」や「What's your name?」はすべて文です。 文は文法上の最大の単位です。 つまり複数の文が集まってどのように文章を作るのかという話題は文法では扱えません。

働きとは?

語や語の集まりは文の中で主に次の5つの働きのどれかをしています。

定義

  • 文の中で「〜が」やにあたる部分を主語(subject)といいます。
  • 文の中で「〜する」「〜だ」にあたる部分を述語(predicate)といいます。
  • 文の中で「〜を」や「〜に」にあたる部分を目的語(object)といいます。
  • 文の中で主語や目的語とイコールになる部分を補語(compliment)といいます。
  • 「いつ」「どこで」「なぜ」「どのように」「どれくらい」などの補足を加える働きを修飾(modification)といい、修飾していることば修飾語(midifier)といいます。
  • 対象の範囲を明確にする働きを限定(determination)といいます。

次の例文を見てください。

  1. I study English.(私は英語を学んでいる)
  2. They work at this office.(彼らはこのオフィスで働いている)
  3. Their work is great.(彼らの仕事は素晴らしい)

(1)の例文の「study」と(2)の例文の「work」は、違う語ですが、どちらも述語という同じ働きをしています。 一方で(2)の例文の「work」と(3)の例文の「work」は、同じ語ですが、(2)では述語、(3)では主語という違う働きをしています。

品詞とは?

品詞は文法を理解するうえで最も大切な概念です。まずは定義をしっかり確認しましょう。

定義

語をその働きで分類したものを品詞(part of speech)といいます。

品詞の分類の流儀はいくつかありますが、このノートではひとまずざっくりと次の8品詞に分類することにします。

定義

  • 主語の働きができる品詞を名詞(noun)といいます。
  • 述語の働きができる品詞を動詞(verb)といいます。
  • 名詞の前に置いて、その名詞を限定する働きを持った品詞を限定詞(determiner)といいます。
  • 名詞を修飾する働きができる品詞を形容詞(adjective)といいます。
  • 名詞以外を修飾する働きができる品詞を副詞(adverb)といいます。
  • 名詞の前に置いて形容詞句や副詞句を作る働きができる品詞を前置詞(preposition)といいます。
  • 2つの文をつなげてひとつの文にする働きができる品詞を接続詞(conjunction)といいます。
  • 他の語を修飾したり他の語に修飾されたりしない品詞を間投詞(interjection)といいます。

たとえば「apple」や「pen」のように主語の働きができる語は「名詞」というグループ、「walk」や「like」のように述語の働きができる語は「動詞」というグループでとらえます。

文法とは?

個々の語ではなく、品詞という一段抽象化したレベルで成り立つルールを文法と呼ぶことにします。

定義

品詞のレベルで成り立つルールを文法(grammar)といいます。

ちなみに個々の語に特有のルールは語法と呼ぶことにします。 語法も含めて広い意味で文法と呼ぶこともあるので、一部の語法は文法書にも載っていますが、語法は基本的には辞書で調べるものです。

句とは?節とは?

英文法には「句」と「節」というとても便利な概念があります。 句や節を使うと、いくつかの語の集まりをひとつの品詞としてとらえることができます。

定義

複数の語がまとまって、ひとつの品詞として働くもののうち、主語を含まないものを(phrase)といいます。

たとえば次の文では「This red pen」は全体で名詞として働いているので名詞句、「was broken」全体は動詞として働いているので動詞句、「by him」は全体として副詞として働いているので副詞句とよばれます。 「was broken by him」は全体で動詞として働いているので、これ全体を動詞句としてとらえることもできます。

This red pen was broken by him.
(この赤いペンは彼に壊された。)

ちなみに「by him」を前置詞が作る副詞句という意味で前置詞句と呼ぶ人もいますが、それでは前置詞として働く句(例えば「in front of」など)との区別が紛らわしくなってしまうので注意しましょう。

定義

複数の語がまとまって、ひとつの品詞として働くもののうち、主語を含むものを(clause)といいます。

たとえば次の文では「who broke the pen」は主語whoを含み名詞manを修飾する形容詞として働いているので形容詞句とよばれ、 「because I saw the scene」は主語Iを含み文の前半を修飾する副詞として働いているので副詞句とよばれます。

I know the man who broke the pen because I saw the scene.
(私は現場を見たので、そのペンを壊した男を知っています。)

ちなみにwhoが作る節という意味で「who broke the pen」をwho節、becauseが作る節という意味で「because I saw the scene」をbecause節と呼ぶ人もいます。

名詞の文法

それでは8つの品詞をひとつずつ見ていきましょう。 まずはapple、water、Japan、youなどの名詞です。 名詞の定義は「主語の働きができる語」でした。

名詞の働き

文法

名詞には主語や目的語や補語になる働きがある。

次の文では名詞のcatが主語の働きをしています。

The cat is cute.
(そのネコは可愛い。)

次の文では名詞のcatが目的語の働きをしています。

I like the cat.
(私はそのネコが好き。)

次の文では名詞のcatが補語の働きをしています。

My pet is the cat.
(私のペットはそのネコです。)

名詞の種類

名詞には大きく分けて次の4つの種類があります。

定義

  • 数を数える名詞を可算名詞(countable noun)といいます。
  • 数を数えない名詞を不可算名詞(uncountable noun)といいます。
  • 唯一無二のものを指す名詞を固有名詞(proper noun)といいます。
  • 他の名詞の代わりに使える名詞を代名詞(pronoun)といいます。

可算名詞はたとえばbookやfamilyなど、不可算名詞はたとえばwater、healthなどです。 どちらになるかは名詞によって決まっているのではなく、その意味によって決まります。 例えば、fireは「火事」という意味では可算名詞になりますが、「火」という意味では不可算名詞になります。 固有名詞はTaroやJapanなどです。 この世にTaroという人はたくさんいますが、どのTaroも変えの効かない存在なので固有名詞になります。 代名詞はyouやthisなどで、全部で67個あります。

人称とは?

定義

話し手との関係を表す名詞の形を人称(person)といいます。 話し手を表す人称を1人称(first person)、聞き手を表す人称を2人称(second person)、その他を表す人称を3人称(third person)といいます。

人称によって実際の形が変わる名詞は代名詞だけです。 例えばIの1人称はI、2人称はyou、3人称はheとsheです。

数とは?

定義

数を表す名詞の形を(number)といいます。 対象がひとつである数を単数(singular)、2つ以上である数を複数(plural)といいます。

日本語では形であることを強調するために単数のことを単数形、複数のことを複数形ということが多いです。 たとえばpenの単数形はpen、複数形はpensです。 複数形は単数形の末尾にsを付けたものが多いですが、child(単数形)とchildren(複数形)のように不規則に変化するものもあります。 代名詞にも数があり、たとえばIの単数形はI、複数形はweです。

格とは?

定義

文の中での働きを表す名詞の形を(case)といいます。 主語の働きをする格を主格(nominative case)、目的語や補語の働きをする格を目的格(objective case)、限定の働きをする格を所有格(possessive case)といいます。

たとえばIの主格はI、目的格はme、所有格はmyです。 代名詞以外の名詞は主格と目的格が同じ形をしています。 所有格では名詞の後に「's」を付けます。 たとえば「cat」の所有格は「cat's」です。

名詞の文法については次の記事で詳しく説明しています。

動詞の文法

2つめはwalk、love、be、canなどの動詞です。 動詞の定義は「述語になれる品詞」でした。 動詞の文法は他の品詞の文法と比べてとても複雑で、動詞の文法を理解すれば英文法の7割を理解したと言っても良いくらいです。

動詞の働き

動詞には大きく分けて2つの働きがあります。

文法

動詞には述語になる働きと、名詞句や形容詞句や副詞句を作る働きがあります。

定義

述語として働いている動詞を述語動詞(finite verb)、述語以外として働いている動詞を準動詞(nonfinite verb)といいます。

たとえば次の文では動詞studyが述語動詞として働いています。

I study English.
(私は英語を勉強する。)

これに対して、次の文では動詞studyが準動詞として名詞句「studying English」を作っていて、likeの目的語になっています。

I like studying English.
(私は英語を勉強することが好き。)

動詞の活用

定義

動詞の形が変わることを活用(conjugation)という。

文法

動詞には原形(infinitive form)、現在形(present form)、過去形(past form)、現在分詞形(present participle form)、過去分詞形(past participle form)という5つの活用があります。

原形は辞書に載っている形です。 原則として、現在形は原形と同じか原形にsを付けた形、過去形は原形にedを付けた形、現在分詞形は原形にingを付けた形、過去分詞形は過去形と同じか原形にenを付けた形になります。 ただし全ての動詞に全ての活用があるわけではなく、逆にひとつの活用に複数の形がある動詞もあります。

動詞の型

定義

それだけで述語を作れる動詞を本動詞(main verb)といい、本動詞と一緒に使ってはじめて述語を作れる動詞を助動詞(auxiliary verb)といいます。

たとえばspeakは本動詞なのでそれだけで述語を作ることができ「I speak Japanese.」のような文を作ることができます。 一方canは助動詞なのでそれだけでは述語を作ることができず「I can speak Japanese.」のように本動詞とセットになってはじめて文を作ることができます。

文法

本動詞には完全自動詞(complete intransitive verb)、不完全自動詞(incomplete intransitive verb)、完全他動詞(complete transitive verb)、不完全他動詞(incomplete transitive verb)という4つの型があります。

ちなみに完全自動詞を使った文を第1文型、不完全自動詞を使った文を第2文型、のように呼ぶことがありますが、本質的には文の型ではなく、あくまで動詞の型です。

文法

完全自動詞は目的語も補語も後ろに置くことができない。
不完全自動詞は補語を後ろに置く。
完全他動詞は目的語を後ろに置く。
不完全他動詞は目的語と補語を後ろに置く。

たとえば次は完全自動詞のswimを使った文です。

He swims.
(彼は泳ぐ。)

次は不完全自動詞のseemを使った例で、kindが補語です。

He seems kind.
(彼は親切に見える。)

次は完全他動詞のlikeを使った文で、catsが目的語です。

He likes cats.
(彼はネコを好む。)

次は不完全他動詞のmakesを使った文で、herが目的語、happyが補語です。

He makes her happy.
(彼は彼女を幸せにする。)

文法

助動詞には第一助動詞(primary auxiliary verb)と法助動詞(modal auxiliary verb)という2つの型がある。
第一助動詞は意味を持たず機能だけを持った助動詞で、do、be、haveの3つ。 法助動詞は話し手の主観を加える助動詞で、will、can、may、must、shall、dareの6つ。

第一助動詞はこのあと出てくる相や態などを操るために使われます。 法助動詞は、たとえばwillは「だろう」、mayは「かもしれない」などのという主観を加えます。

時とは

英語で時を表現するには現在時制、過去時制、進行相、完了相というシステムを組み合わせる必要があります。 そしてこのシステムを理解するためには、まず3つの時を区別する必要があります。

定義

話し手が発話している時点を発話時(speech time)、話者の関心がある時点を基準時(reference time)、事象(出来事)が発生している時間を事象時(event time)といいます。

たとえば話し手が「今朝は雪が降っていた。」と言った場合、これを言っている時点が発話時、今朝が基準時、雪が降っていた時間が事象時になります。 英語では発話時と基準時の関係を「時制」、基準時と事象時の関係を「相」というシステムで表します。

時制とは

英語には現在時制と過去時制という2つの時制があります。

定義

発話時と基準時の関係を表す述語の形を時制(tense)といいます。
基準時が発話時よりも前にある時制を過去時制(past tense)といい、そうでない時制を現在時制(present tense)といいます。

順番にみていきましょう。

文法

現在時制では、述語の先頭の動詞を現在形にする。
過去時制では、述語の先頭の動詞を過去形にする。
※「先頭の」という部分は述語が長くなった場合の話なので今は気にしなくて大丈夫です。

次の文では述語の動詞giveが現在形のgivesになっています。

He gives advice.
(彼はアドバイスを与える。)

次の文では述語の動詞giveが過去形のgaveになっています。

He gave advice.
(彼はアドバイスを与えた。)

相とは

時制とは独立した概念に相というものがあり、英語には進行相と完了相という2つの相があります。

定義

基準時と事象時の関係を表す述語の形を(aspect)という。
事象時と基準時が重なっている相を進行相(progressive aspect)といい、事象時が基準時よりも前にある相を完了相(perfect aspect)という。

進行相と完了相の作り方は次の通りです。

文法

進行相では述語をbe+現在分詞形の形にする。
完了相では述語をhave+過去分詞形の形にする。

次の文は進行相なので第一助動詞is+現在分詞形givingの形になっています。

He is giving advice.
(彼はアドバイスを与えている。)

次の文は完了相なので第一助動詞has+過去分詞形givenの形になっています。

He has given advice.
(彼はアドバイスを与えたところだ。)

態とは

ここまでの例文はすべて能動態でしたが、英語には能動態の他に受動態があります。

定義

主体と行為との関係を表す述語の形を(voice)という。
主体が行為を行う側である態を能動態(active voice)といい、行為を受ける側である態を受動態(passive voice)という。

能動態の文「He gives advice.」を受動態に書き換えてみます。

文法

受動態の文では述語をbe+過去分詞形の形にする。

He is given advice.
(彼はアドバイスを与えられる。)

法とは

ここまでの例文はすべて直説法でしたが、英語には直説法の他に仮定法と命令法があります。

定義

話し手の態度を表す述語の形を(mood)という。
事実を表す法を直説法(indicative mood)、想いを表す法を仮定法(subjunctive mood)、命令を表す法を命令法(imperative mood)という。

文法

仮定法では述語の先頭の動詞を過去形にする。
命令法では述語の先頭の動詞を原形にする。

直説法の文「Somebody gives advice.」を仮定法に書き換えると次のようになります(形だけでは現在時制の過去形と区別できない)。

Somebody gave advice.
(誰かがアドバイスを与えたらなあ。)

命令法に書き換えると次のようになります(命令法なのでgivesにはならない)。

Somebody give advice.
(誰かがアドバイスを与えろ。)

法助動詞

英語の法助動詞はcan、will、must、may、shall、dareの6つです。 法助動詞を使うと、動詞に義務や意志や能力などの話し手の主観を追加することができます。

文法

法助動詞は述語の先頭に置き、その直後の動詞を原形にします。

たとえば「He gives advice.」に法助動詞を加えると、次のように直後の動詞が原形になって主観が加わります。

He will give advice.
(彼はアドバイスを与えるだろう。)

He must give advice.
(彼はアドバイスを与えるにちがいない。)

準動詞

述語動詞ではない動詞の働きを準動詞といいました。 「to+原形」「現在分詞形」「過去分詞形」の3つの形は準動詞として働くことができます。 「現在形」と「過去形」は準動詞にはなれません。

文法

動詞の「to+原型」は名詞句、形容詞句、副詞句を作り、句の中で動詞として働くことができる。

次の文では名詞句「to give advice」がwantの目的語になっています。

I want to give advice.
(彼はアドバイスを与えることを望む。)

文法

動詞の「現在分詞形」は名詞句、形容詞句、副詞句を作り、句の中で動詞としてはたらくことができます。

次の文では名詞句「giving advice」がlikeの目的語になっています。

He likes giving advice.
(彼はアドバイスを与えることを好む。)

文法

動詞の「過去分詞形」は形容詞句や副詞句を作り、句の中で動詞としてはたらくことができます。

次の文では形容詞句「given advice」がmanを修飾しています。

He knows a man given advice.
(彼はアドバイスを与えられた男性を知っている。)

動詞の文法については次の記事で詳しく説明しています。

形容詞の文法

3つめはred、longなどの形容詞です。 形容詞の定義は「名詞を修飾する働きを持った語」でした。

修飾語としての働き

文法

形容詞は名詞の直前か直後に置いて、全体として名詞句を作る。

基本的には、語で修飾する場合は次のように名詞の直前に置きます。

This is a long pen.
(このペンは長いペンだ。)

この例文では形容詞longが名詞penを修飾していて、a long pen全体として名詞句を作っています。

補語としての働き

文法

形容詞は補語の働きができる。

次の例文では、形容詞longが補語になっています。

This pen is long.
(このペンは長い。)

形容詞の級とは?

形容詞には3つの形があり、それらを使い分けることで比較の表現を作ることができます。

定義

比較を表すための形容詞の形を(degree)という。
比較をしない場合でも使える級を原級(positive degree)、2つの物事を比較するための級を比較級(comparative degree)、3つ以上の物事を比較するための級を最上級(superlative degree)という。

辞書に載っている元の形が原級です。

比較級は原級の語尾にerをつけるか、more+原級の形にします。 たとえばlongの比較級はlongerで、importantの比較級はmore importantになります。 少ないですが例外もあって、たとえばgoodの比較級はbetterです。

最上級は原級の語尾にestをつけるか、most+原級の形にします。 たとえばlongの最上級はlongestで、importantの最上級はmost importantになります。 少ないですが例外もあって、たとえばgoodの最上級はbestです。

形容詞の形を使い分けると比較の表現を作ることができます。 例えば次の文は比較級longerを使っています。

This pen is longer than mine.
このペンは、より長い、私のよりも。
このペンは私のペンよりも長い。

形容詞の文法については次の記事で詳しく説明しています。

副詞の文法

4つめはveryやreallyなどの副詞です。 副詞の定義は「名詞以外を修飾する品詞」でした。 具体的には動詞や形容詞や副詞や文全体を修飾します。

副詞の働き

文法

副詞は動詞や形容詞や副詞や文の前後に置くことで、それらを修飾できる。

たとえば次の文では副詞のreallyが動詞のlikeを修飾しています。

He really likes soccre.
(彼はサッカーがとても好き。)

副詞の級とは

副詞には3つの形があり、それらを使い分けることで比較の表現を作ることができます。

定義

比較を表すための副詞の形を(degree)という。 比較をしない場合でも使える級を原級(positive degree)、2つの物事を比較するための級を比較級(comparative degree)、3つ以上の物事を比較するための級を最上級(superlative degree)という。

副詞の級を使い分けると比較の表現を作ることができます。 次の例ではfastの比較級fasterを使った比較の例です。

He runs faster than her.
(彼はより速く走る、彼女よりも。)

副詞の文法については次の記事で詳しく説明しています。

限定詞の文法

5つめはthe、my、everyなどの限定詞です。 限定詞の定義は「名詞の前に置いて、その名詞が表す範囲を限定する働きを持った品詞」でした。 たとえば、

this pen(このペン)
your pen(あなたのペン)
some pens(いくつかのペン)
all pens(すべてのペン)

のように「どのペンか?」を指定します。

限定詞+名詞の全体としては名詞句になります。

限定詞は形容詞に似ていますが、形容詞が「long pen」や「blue pen」のように「どんなペンか?」を表すのに対して、限定詞は「どのペンか?」を表します。

また形容詞が「long blue pen」のように2つ以上重ねて使うことができるのに対して、限定詞は「this my pen(誤)」のように重ねて使うことができません。

限定詞は数が限られているので、一覧を次のノートにまとめてあります。

前置詞の文法

6つめはat、on、inなどの前置詞です。 前置詞の定義は「前置詞+名詞で全体として形容詞句や副詞句を作る働きがある品詞」でした。 そして前置詞の後ろ名詞を前置詞の目的語と呼ぶのでした。

たとえば次の文では「前置詞+名詞」つまり「in the room」が形容詞句として名詞「book」を修飾しています。

The book in the room is mine.
部屋の中の本は私のものです。)

ところが次の文では同じ「in the room」が副詞句として動詞「is」を修飾しています。

The book is in the room.
(その本は部屋の中にある。)

このように、前置詞が作る句が形容詞句なのか副詞句なのかは、前置詞やその目的語によって決まるのではなく、あくまで文の中での働きできまります。 ただし次の文のように文脈から判断しないといけない場合もあります。

He is reading the book in the room.

この場合「in the room」が副詞句として動詞「read」を修飾していて「部屋の中で読んでいる」という意味になるのか、 それとも形容詞句として名詞「book」を修飾していて「部屋の中の本」という意味になるのかは、文脈から判断するしかありません。

前置詞の目的語には名詞句や名詞節を置くこともできます。 たとえば次の文では名詞句「speaking English」が前置詞「at」の目的語になっています。

She is good at speaking English.
(彼女は英語を話すことに長けている。)

また次の文では名詞節「where it was」が前置詞「to」の目的語になっています。

You have to return the book to where it was.
(あなたはその本を元あったところに返さないといけない。)

ちなみに前置詞の目的語はあくまで目的語なので、代名詞の場合は目的格の形になります。 たとえば「for he」ではなく「for him」、「to I」ではなく「to me」のようになるので注意しましょう。

前置詞は数が限られているので、次の記事に一覧をまとめてあります。

接続詞の文法

7つめはand、if、becauseなどの接続詞です。 接続詞の定義は「文と文をつなげてひとつの文を作る働きを持った品詞」でした。 接続詞には、節を作る接続詞と節を作らない接続詞があります。 節というのは「主語を持った語のカタマリで、全体としてひとつの品詞の働きをするもの」でした。

等位接続詞

定義

節を作らない接続詞を等位接続詞(coordinating conjunction)という。

等位接続詞にはandやsoなど全部で8個があります。 たとえば「I like cats.」という文と「He likes dogs.」という2つの文をandという接続詞でつなぐと、

I like cats and he likes dogs.
(私はネコが好きで彼は犬が好き。)

という1つの文を作ることができます。 andによって2つの文が1つの文にまとめられましたが、特に新しい節は作っていません。

従属接続詞

定義

節を作る接続詞を従属接続詞(subordinating conjunction)という。

従属接続詞にはthatやbecauseなどたくさんあります。 たとえば「I know it.」という文と「He likes dogs.」という文をthatという接続詞でつなぐと、

I know that he likes dogs.
(私は彼がネコ好きということを知っている。)

という1つの文をつくることができます。 接続詞thatがつくる節「that he likes dogs」は名詞節として動詞knowの目的語になっています。 ちなみに接続詞が作る節は従属節と呼ばれることがあります。 接続詞は、このような名詞節だけではなく、副詞節や形容詞節を作ることもできます。

接続詞の文法は少し複雑なので、次の記事に詳しくまとめています。

また接続詞は数が限られているので、次の記事を一覧にまとめていまます。

間投詞の文法

8つめは「ok」や「wow」などの間投詞です。 間投詞の定義は「他の品詞を修飾したり他の品詞に修飾されたりしない品詞」でした。 間投詞にはあいさつや、あいづち、鳴き声などがあります。 oKやwowの他にも「good morning(おはよう)」や「you know(ほら)」のように2語以上のカタマリでひとつの間投詞になるものもあります。 間投詞は他の品詞を修飾したり他の品詞に修飾されたりすることがないので、自由に使うことができます。 例えば

Wow!

のように一語で文を作ることもできますし、

Wow, he is kind.

のように接続詞も前置詞も使わないで文に付けたり文の合間に挟んだりすることもできます。 よく使う間投詞を次のノートにまとめてあります。

倒置と省略と挿入

英語でも、語を入れ替えたり、省いたり、加えたりすることがあります。

倒置

定義

述語動詞が主語の前に出る現象を倒置(inversion)という。

倒置の代表例は疑問文です。 たとえば「He is kind.」という文を疑問文にすると次のように述語動詞isが主語heの前に出ます。

Is he kind?
(彼は親切ですか?)

倒置のもうひとつの代表例はThereで始まる文です。 たとえば「Cats are.」という文は先頭に副詞のThereを置くと、述語動詞のareが主語catsの前に出ます。

There are cats.
(ネコたちが居る。)

省略

定義

重複する語や無くても明らかな語を省くことを省略(ellipsis)という。

たとえば「He is kind and He is brave.」という文の重複している部分を省略すると次のようになります。

He is kind and brave.
(彼は親切で勇敢だ。)

挿入

定義

文法的には関係ない注釈をカンマで挟んで加えることを挿入(insertion)という。

たとえば「He is kind.」という文に「I think」を挿入して次のようにすることができます。

He is, I think, kind.
(彼は、私が思うに、親切だ。)

まとめ

  • 一定の意味や機能を持った文字の並びをという。
  • 大文字で始まり.や?や!で終わる1語以上の語の集まりをという。
  • 文の中で「〜が」にあたる部分を主語という。
  • 文の中で「〜する」「〜だ」にあたる部分を述語という。
  • 文の中で「〜を」や「〜に」にあたる部分を目的語という。
  • 文の中で主語や目的語とイコールになる部分を補語という。
  • 文の中で「いつ」「どこで」「なぜ」「どのように」「どのくらい」などの補足を加える働きを修飾という。
  • 文の中で修飾している部分を修飾語という。
  • 対象の範囲を明確にする働きを限定という。
  • 語をその働きで分類したものを品詞という。
  • 主語の働きができる品詞を名詞という。
  • 述語の働きができる品詞を動詞という。
  • 名詞を限定する働きができる品詞を限定詞という。
  • 名詞を修飾する働きができる品詞を形容詞という。
  • 名詞以外を修飾する働きができる品詞を副詞という。
  • 名詞の前に置いて形容詞句や副詞句を作る働きができる品詞を前置詞という。
  • 2つの文をつなげてひとつの文にする働きができる品詞を接続詞という。
  • 修飾したり修飾されたりする働きがない品詞を間投詞という。
  • 品詞のレベルで成り立つルールを文法という。
  • 複数の語がまとまってひとつの品詞として働くもののうち、主語を含むものを、含まないものをという。
  • 名詞には主語や目的語や補語になる働きがある。
  • 名詞には可算名詞不可算名詞固有名詞代名詞がある。
  • 話し手との関係を表す名詞の形を人称といい、1人称2人称3人称がある。
  • 数を表す名詞の形を数(すう)といい、単数複数がある。
  • 文の中での働きを表す名詞の形をといい、主格目的格所有格がある。
  • 動詞には述語動詞準動詞がある。
  • 動詞の形が変わることを活用といい、原形現在形過去形現在分詞形過去分詞形がある。
  • 単体で述語を作れる動詞を本動詞といい、作れない動詞を助動詞という。
  • 本動詞には完全自動詞不完全自動詞完全他動詞不完全他動詞がある。
  • 完全自動詞の後ろには目的語も補語も置けない。
  • 不完全自動詞の後ろには補語を置く。
  • 完全他動詞の後ろには目的語を置く。
  • 不完全他動詞の後ろには目的語と補語を置く。
  • 助動詞には第一助動詞法助動詞がある。
  • 発話時と基準時の関係を表す述語の形を時制という。
  • 基準時が発話時より前にある時制を過去時制といいそうでない時制を現在時制という。
  • 現在時制では述語の先頭の動詞を現在形にする。
  • 過去時制では述語の先頭の動詞を過去形にする。
  • 基準時と事象時の関係を表す述語の形をという。
  • 事象時と基準時が重なっている相を進行相という。
  • 事象時が基準時より前にある相を完了相という。
  • 進行相では述語の形をbe+現在分詞形にする。
  • 完了相では述語の形をhave+過去分詞にする。
  • 主体と行為との関係を表す動詞の形をという。
  • 主体が行為を行う側である態を能動態という。
  • 主体が行為を受ける側である態を受動態という。
  • 話し手の態度を表す述語の形をという。
  • 事実を表す法を直接法という。
  • 想いを表す法を仮定法という。
  • 命令を表す法を命令法という。
  • 仮定法では述語の先頭の動詞を過去形にする。
  • 命令法では述語の先頭の動詞を原形にする。
  • 法助動詞は述語の先頭に置き、直後の動詞を原形にする。
  • 動詞のto+原形は名詞句、形容詞句、副詞句を作り、句の中で動詞として働く。
  • 動詞の現在分詞形は名詞句、形容詞句、副詞句を作り、句の中で動詞として働く。
  • 動詞の過去分詞形は形容詞句や副詞句を作り、句の中で動詞として働く。
  • 形容詞は名詞の隣に置いて全体として名詞句を作る。
  • 形容詞は補語の働きをする。
  • 比較を表すための形容詞や副詞の形をという。
  • 比較しなくても使える級を原級という。
  • 2つの物事を比較するための級を比較級という。
  • 3つ以上の物事を比較するための級を最上級という。
  • 副詞は動詞、形容詞、副詞、文を修飾できる。
  • 節を作らない接続詞を等位接続詞という。
  • 節を作る接続詞を従属接続詞という。
  • 述語が主語の前に出る現象を倒置という。
  • 重複する語や無くても明らかな語を省くことを省略という。
  • 注釈をカンマで挟んで加えることを挿入という。
  • 名詞の直後に挿入する名詞を同格という。

関連

参考