英語の動詞の種類と文法の全体像

英語  YOSHIKI  2025.2.3  2025.2.3

技術書や数学書のようなノリで、英語の動詞の種類と文法についてまとめてみました。

もくじ

英語の動詞とは

まずは動詞の定義を確認しましょう。

定義

述語の働きができる品詞を動詞(verb)とう。

述語というのは、文の中で「〜する」や「〜だ」にあたる部分のことです。 例えば次の4つの文の「walks」「love」「will be」「can speak」はそれぞれ文の中で述語の働きをしている動詞です。

述語の働きができる品詞は動詞だけです。 動詞の文法は他の品詞の文法と比べてとても複雑で、動詞の文法を理解すれば英文法の7割を理解したと言っても良いくらいです。

動詞の働き

動詞には大きく分けて2つの働きがあります。

文法

動詞には述語になる働きと、名詞句や形容詞句や副詞句を作る働きがある。

定義

述語として働いている動詞を述語動詞(finite verb)、述語以外として働いている動詞を準動詞(nonfinite verb)という。

たとえば次の文では動詞studyが述語動詞として働いています。

I study English.
(私は英語を勉強する。)

これに対して、次の文では動詞studyが準動詞として名詞句「studying English」を作っていて、likeの目的語になっています。

I like studying English.
(私は英語を勉強することが好き。)

動詞の活用

定義

動詞の形が変わることを活用(conjugation)という。

文法

動詞には原形(infinitive form)、現在形(present form)、過去形(past form)、現在分詞形(present participle form)、過去分詞形(past participle form)という5つの活用がある。

原形は辞書に載っている形です。 原則として、現在形は原形と同じか原形にsを付けた形、過去形は原形にedを付けた形、現在分詞形は原形にingを付けた形、過去分詞形は過去形と同じか原形にenを付けた形になります。 ただし全ての動詞に全ての活用があるわけではなく、逆にひとつの活用に複数の形がある動詞もあります。 いくつかの例を表にまとめておきます。

原形 現在形 過去形 現在分詞形 過去分詞形
play play
plays
played playing played
give give
gives
gave giving given
do do
does
did doing done
be am
is
are
was
were
being been
can can could なし なし

動詞の型

定義

それだけで述語を作れる動詞を本動詞(main verb)といい、本動詞と一緒に使ってはじめて述語を作れる動詞を助動詞(auxiliary verb)という。

たとえばspeakは本動詞なのでそれだけで述語を作ることができ「I speak Japanese.」のような文を作ることができます。 一方canは助動詞なのでそれだけでは述語を作ることができず「I can speak Japanese.」のように本動詞とセットになってはじめて文を作ることができます。

文法

本動詞には完全自動詞(complete intransitive verb)、不完全自動詞(incomplete intransitive verb)、完全他動詞(complete transitive verb)、不完全他動詞(incomplete transitive verb)という4つの型がある。

ちなみに完全自動詞を使った文を第1文型、不完全自動詞を使った文を第2文型、のように呼ぶことがありますが、本質的には文の型ではなく、あくまで動詞の型です。

文法

完全自動詞は目的語も補語も後ろに置くことができない。

たとえば完全自動詞のswimを使って次のような文を作ることができます。

He swims.
(彼は泳ぐ。)

文法

不完全自動詞は補語も後ろに置く。

不完全自動詞の代表例はbeです。たとえばbeを使って次のような文を作ることができます。

He is kind.
(彼は親切だ。)

be以外ではたとえばlookやsmelやseemなどがあります。

He seems kind.
(彼は親切に見える。)

どの動詞を使っても基本的には「主語=補語だ。」という意味になります。

文法

完全他動詞は目的語を後ろに置く。

たとえば完全他動詞のlikeを使って次のような文を作ることができます。

He likes cats.
(彼はネコを好む。)

数は少ないですが、目的語を2つ置ける動詞もあります。

He gives her advice.
(彼は彼女にアドバイスを与える。)

どの動詞を使っても基本的には「主語は目的語に述語する。」または「主語は目的語1に目的語2を述語する。」という意味になります。

文法

不完全他動詞は目的語と補語を後ろに置く。

たとえば不完全他動詞のmakesを使って次のような文を作ることができます。

He makes her happy.
(彼は彼女を幸せにする。)

どの動詞を使っても基本的には「主語は目的語=補語を述語する。」という意味になります。

文法

助動詞には第一助動詞(primary auxiliary verb)と法助動詞(modal auxiliary verb)という2つの型がある。
第一助動詞は意味を持たず機能だけを持った助動詞で、do、be、haveの3つ。
法助動詞は話し手の主観を加える助動詞で、will、can、may、must、shall、dareの6つ。

第一助動詞はこのあと出てくる倒置などを操るために使われます。

法助動詞については法助動詞のところで詳しく書きます。

動詞の時とは

英語で時を表現するには現在時制、過去時制、進行相、完了相というシステムを組み合わせる必要があります。 そしてこのシステムを理解するためには、まず3つの時を区別する必要があります。

定義

話し手が発話している時点を発話時(speech time)、話者の関心がある時点を基準時(reference time)、事象(出来事)が発生している時間を事象時(event time)という。

たとえば話し手が「今朝は雪が降っていた。」と言った場合、これを言っている時点が発話時、今朝が基準時、雪が降っていた時間が事象時になります。 英語では発話時と基準時の関係を「時制」、基準時と事象時の関係を「相」というシステムで表します。

動詞の時制とは

英語には現在時制と過去時制という2つの時制があります。

定義

発話時と基準時の関係を表す述語の形を時制(tense)という。 基準時が発話時よりも前にある時制を過去時制(past tense)といい、そうでない時制を現在時制(present tense)という。

順番にみていきましょう。

文法

現在時制では、述語の先頭の動詞を現在形にします。

次の文では述語の動詞giveが現在形のgivesになっています。

He gives advice.
(彼はアドバイスを与える。)

ちなみに「先頭の」という部分は述語が長くなった時の話なので今は気にしなくて大丈夫です。

文法

過去時制では、述語の先頭の動詞を過去形にします。

次の文では述語の動詞giveが過去形のgaveになっています。

He gave advice.
(彼はアドバイスを与えた。)

動詞の相とは

動詞には時制と似た概念に相というものがあり、英語には進行相と完了相という2つの相があります。

定義

基準時と事象時の関係を表す述語の形を(aspect)という。 事象時と基準時が重なっている相を進行相(progressive aspect)といい、事象時が基準時よりも前にある相を完了相(perfect aspect)という。

たとえば非進行相で非完了相の文「He gives advice.」を色々な相に書き換えていきます。

文法

進行相では述語をbe+現在分詞形の形にする。

次の文は進行相なので助動詞is+現在分詞形givingの形になっています。

He is giving advice.
(彼はアドバイスを与えている。)

過去時制にすると述語の先頭の動詞が過去形になって次のようになります。

He was giving advice.
(彼はアドバイスを与えていた。)

文法

完了相では述語をhave+過去分詞形の形にする。

He has given advice.
(彼はアドバイスを与えたところだ。)

完了相かつ進行相では述語がhave+been+現在分詞形の形になって次のようになります。

He has been giving advice.
(彼はアドバイスを与え続けている。)

過去時制にすると述語の先頭の動詞が過去形になって次のようになります。

He had been giving advice.
(彼はアドバイスを与え続けていた。)

動詞の態とは

ここまでの例文はすべて能動態でしたが、英語には能動態の他に受動態があります。

定義

主体と行為との関係を表す述語の形を態(voice)という。 主体が行為を行う側である態を能動態(active voice)といい、行為を受ける側である態を受動態(passive voice)という。

能動態の文「He gives advice.」を受動態に書き換えてみます。

文法

受動態の文では述語をbe+過去分詞形の形にする。

He is given advice.
(彼はアドバイスを与えられる。)

この文を過去時制で進行相で完了相にすると次のようになります。

He had been being given advice.
(彼はアドバイスを与えられ続けていた。)

動詞の法とは

ここまでの例文はすべて直説法でしたが、英語には直説法の他に仮定法と命令法があります。

定義

話し手の態度を表す述語の形を法(mood)という。 事実を表す法を直説法(indicative mood)、想いを表す法を仮定法(subjunctive mood)、命令を表す法を命令法(imperative mood)という。

直説法の文「Somebody gives advice.」を仮定法と命令法に書き換えてみます。

文法

仮定法では述語の先頭の動詞を過去形にする。

Somebody gave advice.
(誰かがアドバイスを与えたらなあ。)

見ての通り、形としては直接法の過去時制と同じなので、これが「直説法の過去時制」なのか「仮定法」なのかは文脈から判断するしかありません。 そのため、一般的には 「I wish somebody gave 〜」 や 「If somebody gave 〜」 のように仮定法だと判別できる表現と一緒に使います。

仮定法に時制はありませんが相や態はあります。 たとえば次の文は完了相の文です。

Somebody had given advice.
(誰かがアドバイスを与えていたらなあ。)

次の文は受動態の文です。

Somebody was given advice.
(誰かがアドバイスを与えられていたらなあ。)

文法

命令法では述語の先頭の動詞を原形にする。

例えば主語がSomebodyの場合、直接法では動詞がgivesやgaveにならないといけませんが、次のように命令法では原形になります。

Somebody give advice.
(誰かがアドバイスを与えろ。)

命令法を使う場面では普通は目の前の相手、つまりyouが主語なことが多いのでyouは省略して次のように動詞から始めます。

Give advice.
(アドバイスを与えろ。)

ただし「あなた」を強調したい場合はあえて省略しないこともあります。

You give advice.
(あなたがアドバイスを与えろ。)

命令法には時制がありませんが、相や態はあります。 例えば次の文は進行相の命令文です。

Be giving advice.
(アドバイスを与え続けろ。)

次の文は受動態の命令文です。

Don't be given advice.
(アドバイスを与えられるな。)

法助動詞

英語の法助動詞はcan、will、must、may、shall、dareの6つでした。 法助動詞を使うと、動詞に義務や意志や能力などの話し手の主観を追加することができます。

文法

法助動詞は述語の先頭に置き、その直後の動詞を原形にする。

たとえば「He gives advice.」に法助動詞を加えると、次のように直後の動詞が原形になって主観が加わります。

He will give advice.
(彼はアドバイスを与えるだろう。)

He must give advice.
(彼はアドバイスを与えるにちがいない。)

He may give advice.
(彼はアドバイスを与えるかもしれない。)

法助動詞は動詞句の先頭に置き、直後の動詞が原形になるので、たとえば「He is given advice.」に法助動詞mayを追加すると次のようになります。

He may be given advice.
(彼はアドバイスを与えられるかもしれない。)

準動詞とは

述語動詞ではない動詞の働きを準動詞といいました。 「to+原形」「現在分詞形」「過去分詞形」の3つの形は準動詞として働くことができます。 「現在形」と「過去形」は準動詞にはなれません。

文法

動詞の「to+原型」は名詞句、形容詞句、副詞句を作り、句の中では動詞としてはたらくことができる。

次の文では名詞句「to give advice」がwantの目的語になっています。

I want to give advice.
(彼はアドバイスを与えることを望む。)

次の文では形容詞句「to give advice」がmanを修飾しています。

He know a man to give advice.
(彼はアドバイスを与える男性を知っている。)

次の文では副詞句「to give advice」が文の前半を修飾しています。

He came to give advice.
(彼はアドバイスを与えるために来た。)

どの文でも、文の中では動詞以外の品詞として働き、 句の中では動詞として働いて目的語adviceをとっています。

文法

動詞の「現在分詞形」は名詞句、形容詞句、副詞句を作り、句の中で動詞としてはたらくことができる。

次の文では名詞句「giving advice」がlikeの目的語になっています。

He likes giving advice.
(彼はアドバイスを与えることを好む。)

次の文では形容詞句「giving advice」がmanを修飾しています。

He knows a man giving advice.
(彼はアドバイスを与える男性を知っている。)

次の文では副詞句「giving advice」が文の前半を修飾しています。

He helped her giving advice.
(彼はアドバイスを与えて彼女を助けた。)

文法

動詞の「過去分詞形」は形容詞句や副詞句を作り、句の中で動詞としてはたらくことができる。

次の文では形容詞句「given advice」がmanを修飾しています。

He knows a man given advice.
(彼はアドバイスを与えられた男性を知っている。)

次の文では副詞句「given advice」が文の前半を修飾しています。

He came, given advice.
(彼はアドバイスを与えられるために来た。)

関連

参考