もくじ
動詞の強調
次の例文の動詞「like」を強調する表現をいろいろと見ていこう。
I like cats.
私はネコが好きだ。
まずはこちら。
I do like cats.
私は確かにネコが好きだ。
このdoは助動詞で、動詞のlikeを強調している。 好きさの「度合い」を強調するというより、「好きであるという事実」そのものを強調するニュアンスだ。 相手の疑念や先行する否定的な発言を打ち消すような場合にも使われる。 「好きだということを疑わないでほしい」「好きなのは本当だ」という気持ちが込められていることもある。
I really like cats.
私はネコが本当に好きだ。
この文のreallyは副詞で、動詞のlikeを修飾している。 好きだということの度合いや強さを強調している。 「並み以上に好き」「心から好き」という気持ちが込められていることがある。 感情の強さや本気度に焦点が当たっていて、先ほどのdoのような、対比や反論のニュアンスはない。 reallyの代わりにtrulyやespeciallyなども使える。
I like cats very much.
私はネコがとても好きだ。
この文のvery muchは副詞句で、動詞のlikeを修飾している。 reallyと同じで好きさの度合いや強さを強調している。 reallyよりvery muchの方が少しだけ客観的なニュアンスがある。 「very much」の代わりに「a lot」も使える。
名詞の強調
次の例文の名詞「book」を強調する表現をいろいろと見ていこう。
I want to read the book.
私はその本を読みたい。
まずはこちら。
I want to read the very book.
私はまさしくその本が読みたい。
この文のveryは形容詞で、名詞のbookを修飾している。 このveryは「まさにそれ」「他のどれでもない」というニュアンスを強調している。
It is the book that I want to read.
その本こそ私が読みたいものだ。
この文のthatは関係代名詞という接続詞の一種で、「私が読みたい」という意味の形容詞節を作って、名詞のbookを修飾している。 まずbookに焦点をあてて、その後でそれがどんな本なのか(この場合は私が読みたい本だということ)を説明している。 この形の構文はIt強調構文やIt分裂文と呼ばれることもある。 thatは関係代名詞なので、物を修飾するときはwhich、人を修飾するときはwhoを使うこともできる。
What I want to read is the book.
私が読みたいものは、その本です。
この文のWhatは疑問代名詞という接続詞の一種で、「私が読みたいもの」という意味の名詞節を作っている。 「私が読みたいもの」という内容をまず示して、それが具体的に「その本」であることを示すことでbookに焦点をあてている。 この形の構文はWh強調構文やWh分裂文と呼ばれることもある。
The book, I want to read.
その本を、私は読みたい。
これは主題化という構造で、目的語のbookを文頭に出して話題の中心として示している。 「その本について言えば、私は読みたい」というニュアンスだ。 会話などでその本がすでに話題に上がっている状況で使われやすく、やや口語的。
That's the book I want to read.
それこそが私の読みたい本です。
That'sを使って、目の前にあるものや、直前に話題になったものを指し示して特定するニュアンスが強くなる。 「(指差しながら)あれだよ、私が読みたかった本は」とか「(相手が見せた本に対して)ああ、それが私の読みたかった本だ」といった状況で使われることが多い。
形容詞の強調
次の例文の形容詞「kind」を強調する表現をいろいろと見ていこう。
He is kind.
彼は優しい。
まずはこちら。
He is very kind.
彼はとても優しい。
この文のveryは副詞で、形容詞のkindを修飾している。 親切さの度合いが高いという事実を客観的に表している。
He is really kind.
彼は本当に優しい。
この文のreallyも副詞で、形容詞のkindを修飾している。 reallyには疑うかもしれないけど本当だよ、というニュアンスが含まれることがある。 veryより少し口語的な響きもある。
He is kind indeed.
彼は実に優しい。
この文のindeedも副詞で、形容詞のkindを修飾している。 veryやreallyが程度の副詞だったので形容詞の前に置かれているのに対して、indeedは強調の副詞なので形容詞の後ろに置く。 相手の発言を受けて「確かに」と同意したり、意外な事実に対して「いやはや、実に」と述べたりする場面で使われる。 veryやreallyのように程度を強めるというよりは「親切だ」という事実そのものを強調するニュアンスで、改まった印象もある。
How kind he is.
彼はなんて優しいんだ。
これは感嘆文と呼ばれている形の文だ。 彼の優しさに対して、驚きや感動や称賛などの強い感情を表している。 先ほどのindeedが事実を強調しているのに対して、こちらは感情を強調しているニュアンスがある。
副詞の強調
次の例文の副詞「yesterday」を強調する表現をいろいろと見ていこう。
I went there yesterday.
(私は昨日そこに行った。)
まずはこちら。
I went there just yesterday.
私はつい昨日そこへ行った。
この文のjustは副詞で、副詞のyesterdayを修飾している。 そんな昔ではなくてごく最近だ、という気持ちが含まれている。
It was yesterday that I went there.
それは昨日だ、私がそこに行ったのは。
この文のthatは関係副詞で、yesterdayを修飾する「私がそこへ行った」という意味の形容詞節を作っている。 「私がそこへ行った」という事実は前提として、「それがいつだったのか?」という点に焦点を当てている。 thatが関係副詞なので、文法的にはthatの代わりにwhereやwhenを使うこともできるが、実際にはほとんど使われない。
Yesterday I went there.
昨日、私はそこへ行った。
この文は単にyesterdayを文頭に持ってきているだけだ。 日本語の「私は昨日そこへ行った。」と「昨日、私はそこへ行った。」と同じくらいの違いで、強調のニュアンスはほとんどない。
ちなみに否定の副詞を文頭に持ってきた場合は、次のように倒置が起こるので注意しよう。
Never have I been there.
そこに行ったことなんてない。
この文では否定の意味の副詞Neverを文頭に持ってくることで、倒置が起こって、助動詞haveが主語Iの前に出ている。